最近、目が充血したと来院されるお子さんが増えてきました。👀
流行性角結膜炎(流行り目)で、アデノウイルスの感染です。喉と眼の両方に感染すると咽頭結膜熱(プール熱)といわれます。

昔書いたのですが、また流行しだしたので、再度載せました。



以前は6月頃から少し流行し始め、7・8月頃ピークで流行していましたが、10年前ぐらいから、4・5月と9・10月も少し流行する様になっています。



小学校就学前の6歳以下の子供がかかる事が多いですが、大人もかかる事もあるので注意が必要です。



☝別名のプール熱という名前の通り、プールで感染する事も少なくないです。
ウイルスに汚染された水やタオルから結膜に、咳や会話で飛んだ飛沫や手指を介して、咽頭や結膜に感染していきます。



☝アデノウイルスの種類
インフルエンザウイルスも様々な型があるのと同様に、アデノウイルスも1~51まで型があります。しかし、51種類全てが人に感染して、悪さをするわけではありません。



🎈咳・痰・鼻水・咽頭痛や熱といった上気道炎の症状を出現させるのは、1型、2型、3型、4型、5型、7型。


🎈咽頭痛・結膜炎・高熱(咽頭結膜熱)といった症状を出現させるのは、3型、4型、7型、14型。


🎈結膜炎(流行性角結膜炎・流行り目)の症状を出現させるのは、8型、19型、37型。


🎈血尿・頻尿・排尿障害などの症状を出現させるのは、11型、21型。


🎈嘔吐・下痢などの胃腸炎の症状を出現させるのは、40型、41型。


この様にアデノウイルスは様々な症状を出現させます。


この中でも学校保健安全法で出席停止になるのが、咽頭結膜熱と流行性角結膜炎になっています。

なので、咽頭結膜熱と流行性角結膜炎の疑いがある時は、喉や眼瞼結膜(あっかんべーをした時の眼の下の赤い所)を綿棒で擦って検査をします。


インフルエンザの検査では、2種類なので、『A型ですよ』とか『B型ですよ』とお伝えできますが、アデノウイルスは51種類あるので、流石にクリニックで施行する簡易・迅速検査では判別出来ません。


ここで、咽頭結膜熱と流行性角結膜炎は検査するのに、気管支炎・膀胱炎や胃腸炎の症状を出現させるアデノウイルスは検査しなくて良いの!?と不思議に思う方もいるかと…


インフルエンザと同様に、検査出来るなら検査した方が良いのかも知れません。しかし、検査しないのが現状です。


理由は、アデノウイルス感染症には特効薬がない事です。これがインフルエンザとの大きな違いです。インフルエンザには、タミフル・リレンザやイナビル等の薬が有ります。しかしアデノウイルスの増殖を抑え込む薬は有りません。
一応、インフルエンザもウイルス感染なので薬を飲まなくても治る事が多いです。


もう一つの理由は、咽頭結膜熱は、喉が真っ赤に腫れたり、流行性角結膜炎は眼が充血して赤くなる様に、身体にハッキリと所見が出るのでアデノウイルスを疑えるのです。
しかし、気管支炎の症状の様に、咳・痰や鼻水の症状が有るからといい、アデノウイルスを検査していると春~秋の流行期は、数え切れないぐらいの方を検査しなくてはいけなくなってしまいます。
咳・痰や鼻水といった症状を示す風邪のウイルスは、沢山有ります。
何十人か検査すれば1人ぐらい陽性に出るかも知れませんが、効率が悪いですよね。なので、患者さんの負担や医療費等を考えると余り有用では無いと判断された為です。


しかし、確実に流行を防げるものは防いだ方が良いので、咽頭結膜熱と流行性角結膜炎は検査する様になっています。


アデノウイルス4型・7型は経口のワクチンがあります。しかし、日本では承認されていません。
理由は16歳以上でしか安全性が確立されていないという事と錠剤のワクチンで口の中で溶かさずに飲み込まなくてはいけないからです。小さい子には難しいですよね。


💊治療
先程書いた様に、特効薬は無いので、対症療法になります。熱が高ければ解熱剤、喉が痛ければ喉の痛み止め、結膜炎があれば点眼薬などです。


🚿家での予防の仕方
感染者との密接な接触を避けることです。
タオル等を分けたり、感染者が最後に風呂に入る様にする事です。
流行期は、うがいや手指の消毒をすることです。
手指に対しては流水と石鹸による手洗い、および90%エタノ-ルによる消毒をする事です。
物対しては煮沸、次亜塩素酸ソーダを用いて消毒をする。


感染力が強いので皆さん気をつけましょう。

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